トップ はじめての方へ 業者様はこちら 浄化槽の基礎知識 よくある質問 お問い合わせ

浄化槽の仕組みとは?初心者向けにやさしく解説

公開日 更新日 情報の最終確認日 2026/10/04

この記事の結論

浄化槽は、下水道が整備されていない地域で家ごとに生活排水をきれいにして放流する「小さな処理場」です。槽の中の微生物が汚れを分解する仕組みのため、ブロワーの電源を切らないことと、保守点検・清掃・法定検査という3つの義務を守ることが使いこなしの基本になります。

  • トイレの水だけを処理する単独処理浄化槽は2001年4月から新設禁止。既存のものは合併処理への転換の努力義務がある
  • 槽内では微生物が汚れを分解している。酸素を送るブロワーは24時間運転が前提
  • 5人槽・7人槽などの人槽は「住んでいる人数」ではなく建物の規模で決まる処理能力の区分
  • 自宅の浄化槽の型式・人槽は、マンホール蓋の刻印や保守点検の記録票で確認できる

30〜60秒でチェック

  1. 敷地内のマンホール蓋(ふつう2〜3枚並んでいます)の場所を確認する
  2. 蓋の刻印・銘板でメーカー名・型式・人槽を控える(スマホで撮影がおすすめ)
  3. 屋外コンセントにつながるブロワー(送風機)が動いているか、音と振動で確認する
  4. 保守点検の記録票(点検のたびに業者が残す控え)が家にあるか探す
  5. 単独処理か合併処理か分からない場合は、記録票か保守点検業者に確認する

浄化槽とは:下水道の代わりに家ごとに置く「小さな処理場」

浄化槽(じょうかそう)は、下水道が整備されていない地域で、家庭から出る排水をその場できれいにして側溝や水路に放流するための設備です。地面に埋められたタンクの中で微生物が汚れを分解する、いわば「家ごとの小さな下水処理場」です。下水道が来ている地域では排水は下水処理場でまとめて処理されますが、来ていない地域では各家庭の浄化槽がその役割を担います。

浄化槽の使い方・管理の義務は浄化槽法という法律で定められており、持ち主(浄化槽管理者)には後述する保守点検・清掃・法定検査の3つの義務があります。「設置したら終わり」の設備ではなく、微生物という生き物を飼い続ける設備だと考えると、なぜ定期的な管理が必要なのかがイメージしやすくなります。きちんと管理された浄化槽の処理能力は高く、身近な水路や川の水質を守るうえで下水道と並ぶ大切な設備です。

単独処理浄化槽と合併処理浄化槽の違い

浄化槽には大きく2種類あります。トイレの排水(し尿)だけを処理するのが単独処理浄化槽、トイレに加えて台所・風呂・洗濯などの生活雑排水もまとめて処理するのが合併処理浄化槽です。単独処理浄化槽では生活雑排水が処理されないままの水路などに流れるため、2001年(平成13年)4月1日から新設が禁止されました。現在新しく設置できるのは、原則として合併処理浄化槽だけです。

すでに設置されている単独処理浄化槽は「みなし浄化槽」として引き続き使用できますが、浄化槽法(平成12年改正法の附則)で合併処理浄化槽への転換(付け替え)の努力義務が定められています。さらに令和元年の法改正では、そのまま放置すれば生活環境の保全や公衆衛生上重大な支障が生じるおそれのある「特定既存単独処理浄化槽」について、都道府県が助言・指導・勧告・命令を行える仕組みも設けられました。転換には多くの市町村で補助金が用意されています。詳しくは浄化槽の補助金の記事をご覧ください。

自宅の浄化槽が単独か合併かは、マンホール蓋の枚数だけでは判別できません。保守点検の記録票・検査結果書に記載されているほか、保守点検業者に聞けば確実に分かります。調べる手順は単独処理浄化槽の見分け方にまとめています。

浄化槽の中で何が起きているか(処理の流れ)

浄化槽の中では、微生物が汚れ(有機物)を食べて分解することで水がきれいになっていきます。ここでは家庭用で代表的な嫌気ろ床接触ばっ気方式の合併処理浄化槽を例に、水の流れを見てみましょう。(処理方式によって槽の構成は異なります。)

合併処理浄化槽のしくみ(模式図) 嫌気ろ床槽 固形物を沈め 酸素なしで分解 接触ばっ気槽 空気を送り微生物が 汚れを分解 沈殿槽 汚泥を沈めて 上澄みを取り出す 消毒槽 消毒して 放流 生活排水が流入 きれいな水を放流 ブロワー (送風機) 空気(酸素)を送る
合併処理浄化槽の内部構造(模式図)
  1. 嫌気ろ床槽(けんきろしょうそう):最初に排水が入る槽です。固形物を沈めて取り除き、酸素を嫌う嫌気性微生物が汚れをゆっくり分解します
  2. 接触ばっ気槽(せっしょくばっきそう):ブロワーから空気が送り込まれる槽です。ろ材(微生物のすみか)に付いた好気性微生物が、酸素を使って汚れを活発に分解します
  3. 沈殿槽:微生物のかたまり(汚泥)を底に沈め、きれいになった上澄みだけを取り出します
  4. 消毒槽:最後に消毒剤(塩素剤)で大腸菌などを消毒してから、側溝や水路へ放流します

分解しきれなかった汚れや微生物の死骸は汚泥として槽の底にたまっていきます。これを定期的に抜き取るのが「清掃」で、たまったまま放置すると処理能力が落ちて臭いや水質悪化の原因になります。また、消毒槽の塩素剤は使ううちに溶けてなくなるため、保守点検のたびに補充してもらいます。「微生物が分解し、汚泥がたまり、それを人が抜き取る」というサイクルが分かると、点検や清掃がなぜ定期的に必要なのかが自然に理解できます。

ブロワーの役割:微生物への酸素供給

浄化槽の横に置かれている小さな箱がブロワー(送風機)です。接触ばっ気槽の微生物に酸素を送り続ける、浄化槽の心臓部にあたる機械です。環境省令の使用準則でも「電源を切らないこと」が定められており、環境省のマニュアルにも、電源を切ると空気が送られなくなり槽内の微生物が死んだり働きが悪くなったりすると明記されています。節電のつもりで夜だけ切る、といった使い方は絶対にやめてください。

ブロワーは24時間365日動き続けるため、ダイヤフラム(ゴム膜)などの消耗部品を交換しながら使い、本体が古くなったら同等品か後継機種に交換するのが一般的です。音や振動がいつもと違う、止まっているといった異変は微生物への酸素供給が止まっているサインなので、早めの対処が必要です。選び方・交換のポイントはブロワーの選び方の記事で詳しく解説しています。

浄化槽を傷めない日常の使い方

浄化槽の主役は微生物なので、日常の使い方も「微生物をいじめない」ことが基本です。環境省令の使用準則では、電源を切らないことのほか、浄化槽の上部に機能に支障を及ぼす荷重をかけないこと、上部や周辺に点検・清掃の妨げになる構造物を設けないことなどが定められています。浄化槽の上を駐車場にする場合は、駐車場仕様の補強がされていることが前提です。

  • トイレにティッシュ・おむつ・薬品など流してはいけないものを流さない(流してよいもの・悪いものの記事参照)
  • 洗剤は浄化槽に対応した製品を選び、メーカーが示す適量を守る(環境省Q&A)。塩素系漂白剤は避けた方がよく、大量の薬剤を一度に流さない(洗剤の記事参照)
  • マンホール蓋はしっかり閉め、割れ・ガタつきがあれば保守点検業者に相談する
  • 日々の習慣づくりは日常のお手入れの記事にまとめています

人槽(5人槽・7人槽)は「住んでいる人数」ではない

浄化槽のカタログや記録票に出てくる5人槽・7人槽・10人槽という表記は「人槽(にんそう)」といい、浄化槽の処理能力の区分を表します。誤解されやすいのですが、実際に住んでいる人数ではなく、建物の延べ床面積などから算定される数字です。そのため2人暮らしでも7人槽、ということは普通にあります。

戸建て住宅の人槽の目安(JIS A 3302:2000 による算定。実際の運用は自治体によります)
人槽建物の目安備考
5人槽延べ床面積 130m²以下一般的な戸建てで多い
7人槽延べ床面積 130m²超床面積が大きい住宅
10人槽二世帯住宅など台所・浴室が2つある住宅など。JIS本体の規定ではなく自治体の運用基準

上の表は広く行われている運用の目安です。正確な算定は自治体の取り扱い・処理対象人員の算定基準によるため、新築や建て替えで人槽を決める場合は設置工事店や自治体に確認してください。人槽は保守点検や清掃の料金、維持費にも関わる基本情報です。

自宅の浄化槽の型式・人槽を調べる方法

自宅の浄化槽が「どのメーカーの何という機種で、何人槽か」は、次のいずれかで確認できます。

  • マンホール蓋の刻印・銘板:メーカー名やロゴ、型式が刻印されていることが多い
  • 保守点検の記録票:点検のたびに業者が残す控えに、型式・人槽・処理方式が書かれている
  • 浄化槽の使用開始報告書・法定検査の結果書:設置時・検査時の書類に基本情報がまとまっている
  • 保守点検業者に聞く:契約中の業者なら台帳で管理しているため、電話1本で確認できる
型式・人槽・処理方式は、ブロワーの交換・修理の見積もり、清掃の依頼、売却時の説明など、あらゆる場面で最初に聞かれる情報です。一度調べてスマホに控えておくと後がスムーズです。

3つの義務:保守点検・清掃・法定検査

浄化槽法は、浄化槽の持ち主(管理者)に次の3つを義務付けています。それぞれ役割が違うため、どれか1つでは代わりになりません。

浄化槽の3つの義務の概要
義務頻度内容
保守点検4か月に1回以上が基本(処理方式・人槽による)機器の調整・消毒剤の補充・ブロワーの確認など。登録業者に委託するのが一般的
清掃年1回以上(全ばっ気方式はおおむね6か月に1回以上)たまった汚泥の引き抜き。市町村の許可業者が実施
法定検査使用開始後3〜8か月の7条検査+毎年1回の11条検査県知事指定の検査機関による「健康診断」。点検・清掃とは別に必要

3つの違いと受け方の詳細は点検・清掃・法定検査の頻度の記事で解説しています。費用の目安は維持費の記事をご覧ください。保守点検をまだ業者に頼んでいない場合は、お住まいの地域の登録業者から探せます。

お住まいの地域の浄化槽業者を探す

都道府県と市区町村を選ぶだけで、対応可能な保守点検業者を比較できます。掲載は全国8,000社超。

業者をさがす

自分で安全に確認できること

  • マンホール蓋の刻印・銘板の確認と写真撮影(蓋は開けない)
  • ブロワーが動いているかを音・振動で確認する
  • 保守点検の記録票・法定検査の結果書を探して1か所にまとめておく

やってはいけないこと

  • ブロワーの電源を切る(夜間・数日〜10日程度の旅行中も切らない。数か月使わない場合は自己判断で切らず業者に相談)
  • マンホール蓋を開けて槽の中をのぞく・物を入れる(転落・ガスの危険)
  • 浄化槽の上に重い物を置いたり、補強のない状態で車を停めたりする
  • 点検・清掃を「どちらかやっていればよい」と自己判断で省略する

業者へ相談すべき基準

  • 自宅の浄化槽が単独処理か合併処理か分からない
  • 型式・人槽がどの書類でも確認できない
  • 保守点検の契約をしていない・記録票が見当たらない
  • 臭い・水位の異常・ブロワーの停止など気になる症状がある

お住まいの地域の浄化槽業者を探す

都道府県と市区町村を選ぶだけで、対応可能な保守点検業者を比較できます。掲載は全国8,000社超。

業者をさがす

よくある質問

下水道は排水を管で集めて地域の処理場でまとめてきれいにする仕組み、浄化槽は各家庭の敷地内で排水をきれいにして放流する仕組みです。下水道が整備されていない地域では浄化槽が同じ役割を担います。処理の主役はどちらも微生物です。
使用自体は可能ですが、生活雑排水が処理されずに流れるため、浄化槽法で合併処理浄化槽への転換の努力義務が定められています。転換には多くの市町村で補助金があり、単独からの転換を重点的に支援する自治体もあります。金額・条件は自治体により大きく異なるため、お住まいの市町村に確認してください。
問題ありません。人槽は実際の居住人数ではなく、建物の延べ床面積などから算定される処理能力の区分です。2人暮らしで5人槽・7人槽というのはごく普通の状態で、そのまま使用して構いません。保守点検・清掃などの義務も人槽に応じて通常どおり必要です。
機械が壊れるというより、槽内の微生物が酸素不足で死んだり働きが悪くなったりして、処理能力が落ちます。停止が続くと臭いや水質悪化につながるため、環境省令でも電源を切らないことが定められています。環境省のマニュアルでは、10日程度の留守でも非常時を除き電源は切らないこととされています。一方、別荘などで数か月以上使わない場合は、電源を切ったうえで清掃して水を張っておき、使用再開前に保守点検を受ける方法が取られることがあります。この場合も自己判断で電源を切らず、保守点検業者・清掃業者に相談してください。

公式の出典・参考情報

上記の公式情報は 2026-10-04 時点で確認しています。制度・仕様は変更されることがあるため、最新の情報は各公式サイトでご確認ください。