引っ越し時の浄化槽の手続き|使用開始・休止・廃止
公開日 更新日 情報の最終確認日 2026/10/04
この記事の結論
浄化槽は建物に付いてくる設備で、管理義務は「いま使っている人・所有している人」に移ります。使用開始の報告・管理者の変更の報告・使用の再開・廃止は30日以内の届出(報告)が義務です。空き家にするときの使用休止の届出は任意で、期限はありません。
- 新しく設置した浄化槽を使い始めたときは使用開始の報告、売買・相続などで管理者が変わったときは新しい管理者が変更の報告を、いずれも30日以内に提出(既存の浄化槽付きの家に入居するだけなら、使用開始の報告の対象ではない)
- 空き家にするなら、清掃をしたうえで使用休止の届出をすれば点検・清掃・法定検査の義務が免除される(任意の届出。2020年4月から)。使用を再開したときは30日以内に届出が必要
- 解体・撤去・下水道への切替のときは廃止の届出(30日以内)と清掃が必要
- 届出先と様式は都道府県(保健所設置市など)で異なるため、必ず自治体に確認する
30〜60秒でチェック
- これから使い始めるのか、使わなくなるのかを整理する
- 前の所有者・管理者から保守点検と清掃の記録票・法定検査の結果書を受け取る
- 浄化槽の型式・人槽・設置年を確認する(調べ方)
- 既存の保守点検の契約が続いているか、引き継ぐかを確認する
- 自治体の担当課(環境課・生活環境課など)に必要な届出と様式を確認する
まず押さえる届出と報告
浄化槽法では、浄化槽の使用状況が変わるタイミングごとに届出(報告)が定められています。使用休止の届出だけは任意で、それ以外は期限つきの義務です。いずれも浄化槽管理者(所有者・占有者など浄化槽の管理の権原を持つ人。通常は建物の所有者)が行うものです。
| 届出 | いつ | 内容 |
|---|---|---|
| 使用開始の報告 | 使用開始日から30日以内 | 新たに設置した浄化槽を使い始めたときに、都道府県知事あてに報告書を提出します。既存の浄化槽付きの家に入居するだけなら、この報告の対象ではありません(管理者が変わる場合は次の変更の報告を出します)。 |
| 管理者・技術管理者の変更 | 変更日から30日以内 | 売買・相続などで浄化槽の管理者が変わったときに、新しい管理者が提出します。技術管理者の変更の報告は、技術管理者を置く必要がある大規模な浄化槽の場合です。 |
| 使用休止の届出 | 任意(期限なし) | 清掃をしたうえで使用休止を届け出た浄化槽は、休止中の保守点検・清掃・法定検査の義務が免除されます(2020年4月施行)。届け出るかどうかは任意です。 |
| 使用再開の届出 | 再開日から30日以内 | 休止を届け出た浄化槽を再び使い始めたときに提出します。 |
| 廃止の届出 | 廃止から30日以内 | 解体・撤去や下水道への切替で浄化槽を使わなくなったときに提出します。 |
状況別にやること
浄化槽付きの家を購入した
- 管理者変更の届出を30日以内に提出します。
- 保守点検の契約を確認します。前所有者の契約をそのまま引き継ぐか、新たに業者を選ぶかを決めます(業者の選び方)。
- 清掃と法定検査の時期を確認します。前回いつ実施したかで、次の予定が決まります。
- 直近の法定検査の判定を確認します。「不適正」の指摘があれば改善が必要です(結果票の見方)。
購入前の確認については浄化槽付き中古住宅の購入チェックリストで詳しく解説しています。
家を売却する
- 保守点検・清掃の記録票、法定検査の結果書、浄化槽の取扱説明書・図面をまとめて引き渡します
- 未受検の法定検査や、指摘を受けたまま放置している事項がないか確認します(買主との条件交渉に関わります)
- 管理者変更の届出は新しい所有者が行いますが、引き渡し時に必要な情報を伝えておきます
- 保守点検の年間契約が残っている場合は、解約または引き継ぎの条件を業者に確認します
賃貸に出す・借りる
賃貸物件では、浄化槽の管理責任を貸主(所有者)と借主のどちらが負うかを契約で明確にしておくことが重要です。保守点検・清掃・法定検査の費用負担、日常の使い方の注意(日常の使い方)も、入居時に共有しておくとトラブルを防げます。
相続した
- 管理者が変わるため、管理者変更の届出を行います。
- 相続した家に住む場合は、そのまま保守点検の契約を引き継ぐか新規に契約します。
- 空き家にする場合は、後述の使用休止または廃止を検討します。放置したままだと管理義務だけが残り続けます。
- 解体を予定している場合は、解体前に清掃(汚泥の引き抜き)が必要です。
空き家にする
浄化槽が設置されている限り、原則として管理義務は続きます。誰も住んでいないのに点検・清掃・法定検査の費用がかかり続けるのを避けるため、使用休止の届出という制度があります。
- 清掃(汚泥の引き抜き)をしたうえで、使用休止を都道府県知事に届け出ます
- 届出が受理されると、休止している間の保守点検・清掃・法定検査の義務が免除されます
- 再び使い始めたときは、再開した日から30日以内に使用再開の届出が必要です。長期間止めていた浄化槽は、再開前に業者の点検を受けてください
安全上の注意
解体・撤去する
- 解体前に清掃を行い、槽内の汚泥を引き抜きます。清掃は市町村の許可を受けた業者が行います。
- 廃止の届出を30日以内に提出します。
- 本体の撤去や埋め戻しは、工事業者に依頼します。自治体によっては撤去費に補助が出る場合があります(補助金の調べ方)。
下水道に切り替える
下水道の供用が開始された区域では、下水道への接続が求められます(時期や条件は下水道法および自治体の条例によります)。切り替えの際は、次の流れになります。
- 自治体から供用開始の案内が届いたら、接続工事の時期と補助・融資制度を確認します
- 指定された工事店に依頼し、宅内配管を下水道に接続します
- 浄化槽は清掃(汚泥の引き抜き)をしたうえで、撤去または適切に処分・埋め戻します
- 廃止の届出を提出します
接続工事の費用、補助・貸付制度、期限は自治体で大きく異なります。必ず下水道担当課に確認してください。
引き継ぎで受け取っておきたい書類
- 保守点検の記録票(直近3年分。3年間の保存義務があります)
- 清掃の記録票(保守点検の記録と同じく3年間の保存義務があります)
- 法定検査(11条検査)の結果書と判定
- 浄化槽の取扱説明書・設置図面(型式・人槽・処理方式がわかるもの)
- 設置時の書類(使用開始報告書の控え、設置届など)
- 保守点検・清掃の契約書(業者名・契約内容・年間費用)
- ブロワーの型式がわかるもの(交換時に必要。選び方)
これらが揃っていれば、次の管理者は業者への説明も見積もりの取得もスムーズです。書類が見つからない場合は、これまで点検していた業者に問い合わせると記録が残っていることがあります。
費用の目安と引き継ぎのタイミング
年間の維持費は保守点検料・清掃料・法定検査手数料・ブロワーの電気代で構成されます。金額は地域・業者・人槽によって幅があるため、浄化槽の維持費で内訳を確認したうえで、引き継ぎ時に複数社から見積もりを取ることをおすすめします。
清掃は年1回以上と定められているため、前回の清掃からどれくらい経っているかで、引き継いだ直後にまとまった費用が発生するかどうかが変わります。記録票で必ず確認してください。
自分で安全に確認できること
- 記録票・検査結果書を確認し、次の点検・清掃・検査の時期を把握する
- 自治体の窓口に電話して、必要な届出と様式を確認する
- 浄化槽の型式・人槽・設置年を控えておく
- 複数の保守点検業者に同じ条件で見積もりを依頼する
やってはいけないこと
- 空き家にするのに、休止・廃止の届出をせず放置する
- 解体前の清掃をせずに撤去工事を始める
- 下水道の供用が始まっているのに、接続の案内を確認しないまま放置する
- 記録票や検査結果書を受け取らずに引き渡し・引き受けを済ませる
業者へ相談すべき基準
- 直近の法定検査で「不適正」の判定を受けている
- 長期間、点検・清掃・法定検査を受けていない浄化槽を引き継いだ
- 長く使っていなかった浄化槽の使用を再開する
- 浄化槽の型式・人槽がどうしても特定できない
よくある質問
公式の出典・参考情報
上記の公式情報は 2026-10-04 時点で確認しています。制度・仕様は変更されることがあるため、最新の情報は各公式サイトでご確認ください。