停電・豪雨・浸水時の浄化槽の使い方と復旧手順
公開日 更新日 情報の最終確認日 2026/10/04
この記事の結論
停電や浸水のときは、「排水を減らす」「濡れた電気設備に触れない」の2つが基本です。浄化槽そのものは停電中も水を溜めておけますが、短時間の停電だけなら特別な措置は不要です。ただし、停電が長引く場合や放流ポンプがある場合は排水を控えます。
- 停電が長引く場合は、トイレなどの使用を最小限に。放流ポンプがある家は特に排水を控える
- 水没した電気設備には触らない・通電しない。感電と故障のおそれがある
- 浄化槽が冠水した・冠水した形跡がある・判断がつかないときは使用せず、保守点検業者に連絡する
- 保守点検業者に連絡がつかないときは、指定検査機関または市町村の担当窓口へ相談する
30〜60秒でチェック
- いま停電中か、浸水しているかを確認する
- ブロワーやポンプの電源部分が濡れていないかを離れた位置から目視する(触らない)
- 自宅に放流ポンプ(ポンプ槽)があるかを確認する。あれば停電中の排水は特に控える
- マンホールの蓋がずれていないか・浮いていないかを確認する
- 焦げた臭い・異音があれば、ブレーカーを落として保守点検業者へ連絡する
停電したとき
トイレは使えるのか
停電しても、浄化槽そのものは水を溜めておくことができるため、ただちにトイレが使えなくなるわけではありません。ただしブロワーが止まっている間は空気(酸素)が送られず、槽内の微生物による処理が進まない状態になります。停電が長引くときは、使用を最小限にとどめてください。
環境省の自己管理マニュアルでも、電源を切るとブロワから空気が送られなくなり、槽内の微生物が死んだり働きが悪くなったりすると説明されています。同じマニュアルでは、短時間の停電だけなら特別な措置は必要ないともされています。停電が長引くときは、その間の負荷を減らすために排水を控えめにしましょう。
放流ポンプがある家は特に注意
放流先の水路が浄化槽より高い位置にある場合など、処理した水をポンプで汲み上げて放流している設置(ポンプ槽つき)があります。この場合、停電中はポンプが動かないため、処理水が槽内に溜まり続けます。排水を使い続けると、あふれ出すおそれがあります。
- 自宅にポンプ槽があるかどうかは、保守点検の記録票や業者への確認でわかります
- ポンプ槽がある場合、停電中の洗濯・入浴・大量の炊事は控えます
- 復電したらポンプが動き出したかを確認し、動かない場合は業者へ連絡します
復電したあとの確認
- ブロワーが動き出したか(振動・送風・運転音)を確認します
- 動いていない場合は、コンセントとブレーカーを確認します(詳しい手順はブロワーが止まったとき)
- ブロワーが濡れていた形跡がある場合は、通電せずに業者へ連絡します
- 停電が長引いた後は、臭いや放流水の状態がしばらく不安定になることがあります。千葉県は、復電後に悪臭が4日以上続く場合は保守点検業者に連絡するよう案内しています
安全上の注意
豪雨・浸水したとき
浸水中にすべきこと
浄化槽やその周辺が冠水している間は、浄化槽を使用しないでください。外の水位が高い状態で排水すると、汚水が逆流したりあふれたりするおそれがあります。排水口からゴボゴボと音がする、水位が上がっているといった症状が出ることもあります(ゴボゴボ音・逆流・水位異常)。
- 冠水中も水が引いた後も、利用者はマンホールの蓋を開けたり、内部をのぞき込んだりしない。槽内の確認は保守点検業者に依頼する
- 流されたマンホール蓋があっても、水中では捜さない。開口部への転落は重大な事故につながります
- 蓋が外れている・ずれている場合は、周囲に立ち入らないよう目印を置き、業者・自治体に連絡します
水が引いたあとの確認手順
- 外観を確認する:マンホール蓋のずれ・破損、浄化槽本体の浮き上がりや傾き、周囲の土砂の流出がないかを見ます。
- 電気設備を確認する:ブロワーや制御盤が水に浸かった形跡があれば、絶対に通電しないでください。乾いたように見えても内部に水分が残り、漏電や発火の原因になります。
- ブレーカーを確認する:漏電ブレーカーが落ちている場合、無理に上げずに業者・電気工事店へ相談します。
- 業者に点検を依頼する:泥や砂が槽内に入ると処理機能に影響します。清掃や消毒が必要かどうかを含めて、保守点検業者に確認してもらいます。
- 使用してよいかを判断する:環境省のマニュアルでは、住民が次の4点を確認します。①漏電のおそれがないか ②流入側(建物から浄化槽まで)の漏水がないか ③消毒が行われているか ④浄化槽が冠水した、または冠水した形跡はないか。漏電のおそれ・漏水がある、消毒が行われていない、冠水した(形跡がある)のどれか1つでも当てはまる場合や、確認できない点がある場合は、浄化槽を使用せず、速やかに契約している保守点検業者に連絡します。保守点検業者が被災して連絡がつかないなど対応できない場合は、地域の指定検査機関か市町村の担当窓口に連絡します。どれにも当てはまらない場合も、保守点検業者の詳しい確認を受けるまでは暫定的な使用として扱います。
地震のあとに確認すること
- マンホール蓋・浄化槽本体:ずれ、割れ、浮き上がり、周囲の地盤の沈下
- 配管:建物から浄化槽、浄化槽から放流先までの配管の破損・ずれ
- 排水の流れ:流れが極端に悪い、逆流する場合は配管の損傷が疑われます
- 臭い:普段と違う強い臭いは、配管の破損や槽の損傷のサインのことがあります
見た目に異常がなくても、地中の配管が損傷していることがあります。断水中は水を使えないため症状が出にくく、通水後に問題が判明することもあります。大きな揺れがあった地域では、次回の保守点検を前倒しして依頼することを検討してください。
被災したときの相談先
| 状況 | まず連絡する先 |
|---|---|
| ブロワー・ポンプが水没した、通電が不安 | 保守点検業者(必要に応じて電気工事店) |
| 浄化槽に土砂が入った、汚水があふれる | 保守点検業者・清掃業者 |
| マンホール蓋の破損・紛失 | 保守点検業者。道路や共用部に関わる場合は自治体にも連絡 |
| 浄化槽本体の浮き上がり・傾き・破損 | 設置した工事業者または保守点検業者 |
| 使用を再開してよいかの判断 | 契約している保守点検業者。連絡がつかない場合は指定検査機関または市町村の担当窓口 |
| り災証明・支援制度・災害廃棄物の処分 | 市区町村の窓口 |
災害時は業者も多くの依頼を抱えます。緊急性の高い症状(汚水のあふれ、漏電のおそれ、マンホールの開口)から優先して連絡し、状況を具体的に伝えると対応がスムーズです。
日ごろの備え
- 保守点検業者の連絡先を、停電時でも見られるよう紙にも控えておく
- 自宅の浄化槽の型式・人槽・設置年、放流ポンプの有無を把握しておく(調べ方はこちら)
- マンホールの位置と蓋の状態を普段から確認しておく
- 浄化槽の上や周囲に物を置かない(点検・復旧の妨げになります)
- 保守点検・清掃の記録票(3年間の保存義務があります)と法定検査の結果書を保管しておく
自分で安全に確認できること
- 離れた位置からの目視確認(マンホール蓋のずれ、本体の傾き、周囲の土砂)
- 停電が長引くときは排水を控え、冠水した浄化槽は使用しない
- 復電後にブロワーが動いているかを、触れずに音と振動で確認する
- 被災状況の写真を撮っておく(業者への説明や支援制度の申請に役立ちます)
やってはいけないこと
- 水没した、または濡れた電気設備の電源を入れる
- 冠水中にマンホールの蓋を開ける・流された蓋を水中で捜す
- 漏電ブレーカーが落ちているのに無理に上げる
- 泥や水が入った槽に、自己判断で薬剤を投入する
- 屋内や換気の悪い場所で発電機を運転する
業者へ相談すべき基準
- ブロワー・制御盤・放流ポンプが水に浸かった
- 浄化槽から汚水があふれている、排水が逆流している
- マンホールの蓋が破損・紛失し、開口部ができている
- 浄化槽本体が浮き上がっている、傾いている
- 地震のあと、排水の流れや臭いに明らかな変化がある
- 浄化槽が冠水した・冠水の形跡がある、または使用してよいか判断できない(使用せずに連絡)
よくある質問
公式の出典・参考情報
- 環境省 災害時における浄化槽被害等対策のために
- 環境省 災害時の浄化槽被害等対策マニュアル 第3版
- 環境省 浄化槽の自己管理マニュアル
- 環境省 浄化槽Q&A(回答集)
- 千葉県 災害時(停電・浸水)の浄化槽Q&A
上記の公式情報は 2026-10-04 時点で確認しています。制度・仕様は変更されることがあるため、最新の情報は各公式サイトでご確認ください。